あんしん相続・遺言コラム

プロ監修!土地を相続登記する際の費用・必要書類・期限をやさしく解説

早川 武 行政書士 宅地建物取引主任者

土地や建物を所有する方が亡くなった後、所有権の登記を相続人の名義に変更する「相続登記」。相続登記はいつまでにしなければいけないのでしょうか?

また、どんな書類を用意する必要があるのか、費用はいくらぐらいかかるのか、概要をご説明します。

相続登記っていつまでにしたらいいの?

相続登記はいつまでにしなければならないのでしょうか?

結論からいえば、相続登記には期限はありません。法律上、登記をすることが義務付けられているわけではないので、当然期限もありません。相続登記をせずに放置したからといって、ペナルティーを科されることもありません。それならば、手間暇や費用をかけてあえて登記をしなくてもよさそうに思えるかもしれませんが、そうとも言えません。

まず、不動産の売買などの取引をするために相続登記をしなければならない場合があります。例えば、相続した土地や建物を売却する場合、買主に所有権を移転する登記をすることになりますが、その登記をするためには先に相続登記をしておかねばなりません。金融機関から融資を受けるために土地や建物に担保権の登記をするような場合も同じです。相続登記をしないと次の登記に進むことができないので、必ず相続登記が必要になります。

では、売却などの予定が当面ないなら、相続登記も将来必要になったときに考えればよさそうですが、どうでしょうか。期限が定められていないのですから、たとえ数十年後であっても、相続人全員がそろって意思表示をすることができて、必要な書類も漏れなくそろえることができれば、相続登記は可能です。しかし、時間が経過すればするほど、相続人の中には連絡がとれなくなったり病気などのため意思表示ができなくなる方が出てくる可能性が高まります。相続人が亡くなれば、さらにその相続人が当事者として加わることになり、当事者の人数が増えていくことにもなります。書類についても、時間が経つと紛失などの可能性が高まりますし、役所が保管している書類には一定の保存期間が過ぎると廃棄処分となるものもあり、請求しても交付が受けられなくなります。

そのようにして、相続から年数が経てば経つほど、相続登記の手続きは複雑・困難になり、手間や費用も膨らんでいくことが多く、事実上手続きが不可能な状態に陥ることもあり得ます。必要になったときには手続きが不可能になっていた、ということにならないよう、相続登記は早めに済ませておくほうがよいといえるでしょう。

相続登記に必要書類とは?

必要書類は手続きの内容によって異なりますが、一般的には下記のようなものが必要になります。

戸籍謄本

お亡くなりになった方(被相続人)と相続人全員の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は、本籍地の市町村役場に請求して取得します。

被相続人については、出生から死亡までの全期間分を揃えます。複数の市町村に本籍を置いたことがある場合は、それらすべての市町村で、本籍を置いた期間の戸籍を取得する必要があります。相続人については、現在の戸籍謄本を全員分用意します。妻と未婚の子が相続人である場合など、同一の戸籍に複数の相続人が入っているときは、同じものを人数分取得する必要はなく、1通取得すれば足ります。

被相続人の住民票の除票

被相続人の最後の住所があった市町村役場で取得します。

不動産を取得する相続人の住民票

各相続人の印鑑証明書 ※遺産分割協議がある場合に必要になります。

被相続人名義の不動産の固定資産税課税明細書のコピー

毎年4月~5月頃に市町村役場から納税通知書とともに送付されます。最新の年度のものが必要です。

固定資産評価証明書

何らかの理由で⑤を用意できない場合は、市町村役場で最新年度の固定資産評価証明書を取得します。

遺言書または遺産分割協議書

誰がどの不動産を相続するのかについて、遺言書があれば用意します。
相続人の話し合いで決めた場合は、遺産分割協議書を作成します。
※その他内容に応じて権利証などの追加の書類が必要になる場合があります。

相続登記にかかる費用ってどれくらい?

自分ですべての手続きをする場合、かかる費用は、「(1)必要書類の取得費用+(2)登録免許税+(3)その他実費」となります。司法書士に手続きを依頼する場合は、(4)司法書士報酬も必要になります。

(1)必要書類の取得費用

上記に掲げた書類のうち、⑤と⑦、⑧以外は取得に際し手数料が必要です。

戸籍謄本
現在の戸籍謄本は1通450円、過去のもの(除籍謄本・改製原戸籍謄本と呼ばれるもの)は1通750円

②③住民票・住民票の除票
市町村によって異なりますが、1通200円~400円

印鑑証明書
市町村によって異なりますが、1通300円程度

固定資産評価証明書
市町村によって異なりますが、1物件につき200円程度

(2)登録免許税

法務局に登記申請をする際に納める税金です。登記申請書に収入印紙を貼って納めます。

登記する不動産の固定資産税評価額(上記の⑤または⑥で確認します)×0.4%が税額になります。

例)登記する不動産が土地と地上の建物の場合
固定資産税評価額が土地1000万円、建物500万円のとき
登録免許税額は (1000万円+500万円)×0.4%=6万円 となります。

(3)その他実費

必要書類の取得や登記申請のため市町村役場や法務局へ出向く際の交通費、それらを郵送で行う場合は郵便料金や定額小為替手数料、登記しようとする不動産の内容を確認するための登記簿謄本代(1通600円)などが必要になります。

(4)司法書士報酬

司法書士報酬は、それぞれの司法書士事務所ごとに独自の基準を定めており、依頼する手続きの内容や範囲によっても変わります。司法書士事務所に相談のうえ、見積もりを出してもらって検討するとよいでしょう。

まとめ

相続の手続きはケース・バイ・ケースで内容が決まる要素が多く、実際の手続きでの必要書類、費用は、上記でご紹介したものを基本として内容によって増減することになります。

実際に手続きをされるにあたって必要な書類、費用については法務局や司法書士にご相談ください。おおさか法務事務所へのご質問のお電話は初回無料です。

物事によっては時間が解決してくれることもありますが、こと相続登記に関しては、時間が解決を困難にする、と言っても過言ではありません。この記事を参考に、早めのお手続きをご検討いただければ幸いです。