あんしん相続・遺言コラム

相続手続きに必要な事項・書類とスケジュール とは?

稲葉 光治 司法書士(大阪第4478号) 簡裁訴訟代理等関係業務認定(第1512004号) 宅地建物取引主任者 行政書士

相続手続きと一言でいっても、さまざまな種類があります。

遺言はあるのか、相続財産は不動産なのか、預金なのか、相続人は誰かなど、その手続きは千差万別で同じものはないといえます。その中で、適切に相続手続きを行うためには、そのタイプごとに必要な事項や書類、スケジュールなどを確認する必要があるといえます。
それでは、相続手続きのタイプに沿って見ていくことにしましょう。

(その1)遺言書はありますか?

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まず第一に、お亡くなりになられた被相続人の方が遺言を残されていないかを調べましょう。生前に遺言書についてお話しされていたり、貸金庫などに保管されていることが多いので、このような場合にはお探しいただく必要があります。遺言書がある場合とない場合とでは、相続手続きは大きく異なることになります。

また遺言書には、主に公正証書遺言と自筆証書遺言とがあり、その種類によって行う手続きが異なります。公正証書遺言とは、公証人が立ち会うことにより作成される遺言書で、その信用性が高く、複数の手続きを省略することができます。他方、自筆証書遺言は、被相続人が自分で作成する遺言書で、自由にいつでも作成できる便利さがある反面、作成の形式は法律で定まっています。直近の改正で以前よりは形式が緩くなりましたが、引き続き要件が満たされなかった場合には無効になる可能性があるという危険性をもっています。

さらに、自筆証書は公正証書と違い、相続手続に使用するためには家庭裁判所で「遺言書の検認」という手続きを踏まなければなりませんのでご注意ください。この検認手続きは、長い場合は2ヶ月近く、あるいはそれ以上かかることもありますので、スケジュールが大きく異なることにもなります。

(その2)相続財産は不動産?預金?株券?借金は?

次に、相続する財産にはどのようなものがあるのか調査し、その財産内容を正確に把握する必要があります。内容が、不動産なのか、預金や株券なのか、借金はないのかなど、その内容によって相続人は、遺産をもらう(相続を承認する)のか、いらない(相続放棄をする)のかを判断することになります。

「相続を承認する」とは、相続財産だけでなく、借金(債務)も引き継ぐということですので、相続財産より債務の方が多い場合には、借金が残ってしまうということになります。このような場合には、相続財産も債務も相続しないという意思表示である「相続放棄」を選択することが多くなります。

もし、相続放棄をされる場合には、相続開始を知った時、つまり財産や借金をのこした人が亡くなられたことを知った時から「3ヶ月以内」に家庭裁判所に対して相続放棄の申立を行う必要があります。3ヶ月という期間は、ご葬儀や財産調査などでバタバタしていると簡単に過ぎてしまう短い期間となりますので、特に債務がたくさんある場合には期間に注意してください。

なお、この3ヶ月という期間は、その期間を延ばしてもらう申立をすることもできますので、期間が足りないと思えば、そのような手段もご検討いただけます。

(その3)相続人は誰か?

相続を承認するにしろ、相続放棄をするにしろ、そもそも「相続人は誰か」を確定しなければ承認・放棄をする人が決まりません。(民法で定める相続順位は、配偶者と子ども(第1順位)、両親、祖父等(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)になります。第1順位がいなければ、第2順位といったように順番に相続人が替わります。
詳しくは、「遺産相続の優先順位一覧とその相続割合。家系図を使ってご説明します。」のコラムをご覧ください。

相続人が誰か決まれば、次に、その中で誰が何を相続するのかを話し合う必要があります。これを「遺産分割協議」といい、その話し合いの結果をまとめた書類を「遺産分割協議書」といいます。この結果に沿って、相続財産の相続手続を行うことになります。不動産であれば相続登記、預金や株券の場合は名義変更、債務については返済手続や債務整理手続などを行います。

また、相続のときに一定の額を超える財産を相続する場合には、「相続税」という税金を払う必要があります。この税金の申告は、相続開始から10ヶ月以内に税金の納付まで行う必要があり、この期間も忘れやすいので注意が必要です。

まとめ

以上、見てきましたように、相続手続きといっても千差万別で様々なパターンがあり、そのパターンによって集める必要のある書類も異なりますし、守らなければならない期間も様々です。このような手続をスムーズにかつ正確に行うためには、専門家の助言を受けていただくのが最も効果的といえます。

弊所では、様々なパターンの相続手続、遺産整理手続を行っており、また、税に関する面も税理士と連携し、適切な手続をご案内させていただいています。
相続手続でお困りの際には、ぜひお気軽にご相談ください。